『介護保険料徴収「凍結」のこと』
来月4月から介護保険制度が始まる。だがここにきて制度そのものを覆すような話が出てきた。
介護保険制度とは、本格的な高齢社会の到来に伴う「介護の重度化・長期化の問題」、高齢者が高齢者を介護するという「介護者の高齢化」(いわゆる「老老介護」)、現行制度の「福祉と医療による対応の限界」など、現在あるさまざまな問題点を解消し、利用しやすく公平で統一的な社会支援システムを構築するための制度であり、介護を社会全体で支え、利用者の希望を尊重した総合的なサービスが安心して受けられる仕組みをつくろうとするものである。
自動車保険が自動車事故を起こしたときに、健康保険が病気で病院に行ったときにそれぞれ使うのと同様、介護保険は「介護が必要な状態になった時」に使用するものである。逆にいえば、健康でいる間は使うことのない保険である。とはいえ保険である以上、財源確保のため保険料の徴収が必要がある。その対象となるのは(サラリーマンの奥さんなどを除き)原則として40歳以上の人。たとえ年金生活者であろうと介護保険料は徴収される(介護保険料は市区町村により異なるが、平均3000円前後である)。つまり来年の四月から、40歳以上の人はみな介護保険料を支払わなければならなくなる(はずだった)。
こうしたことは長い間議論を重ねて決定されたことである。ところが、この保険料の徴収を一時凍結(とりやめ)しようという話が自民・自由・公明3党からでてきた。なぜこんなことになったのかといえば、実は来年2000年4月に衆議院解散に伴う総選挙があるため。つまりは選挙対策の人気取りというわけである。もちろん当事者たちは否定するが、誰の目から見ても明らかだ。
時間が足りないといわれる中、各自治体や施設の関係機関・担当者たちいわゆる現場は、休日返上体制で準備作業を進めているという。それを、介護申請受付も始まった今になって、制度の根底を揺るがすような話をもちだすとは……いいかげんにしろという声が聞かれて当然だろう。
が、どうやら保険料徴収の半年間凍結・費用を国が負担するということが決定したようである。「徴収しない」と表現を改めても事実上凍結と同じである。そして半年後というのは、総選挙が終わったら保険料を徴収しようということを意味し、選挙目当て以外のなにものでもない。費用を国が負担するというが、結局金を払うのは国民であって、政治家たちではない。後回しにしたツケはかならず国民に返ってくるのである。こんな目先の人気取りが通用するかどうか、次の総選挙が見ものである。
□参考
- 介護保険財源継続協議(ヤフートピックス):
- http://news.yahoo.co.jp/Full_Coverage/Long_Term_Care_Insurance/
- 介護保険制度について(厚生省):
- http://www.mhw.go.jp/topics/kaigo99_4/index.html
- 介護保険の概要(ナースねっと):
- http://www.nurse.or.jp/information/kaigo/index.html
- 介護保険について(和泉情報ステーション):
- http://www.sanynet.ne.jp/~station/contents/kurashi/kaigo/index.htm
●亀井静香自民党政調会長は「親を子がみるという美風がある。親子の関係を老人と社会に置き換えるのはいかがか」と、見直しを唱えています。しかしそもそも「家族介護が限界に達している」という認識から議論を尽くして介護保険制度が成立したわけで、それを考えればこの主張は、とうてい認められるものではありません。認めれば今までの議論はなんだったのやら……。
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