『心づくしの秋』

木の間(このま)より もりくる月の 影見れば 心づくしの 秋は来(き)にけり

歌意:木の間よりもれて来る月の光を見ると、何かにつけて心を悩まし、物思いをする秋が来たことである

古今集におさめられている詠み人知らずの歌。秋になるとこの歌を思い浮かべます。いや、実は秋でなくても、月を見かけるときはよく思い浮かべるのですが……。

「こころ‐づくし【心尽し】」といえば、「心づくしの品を……」というように「心をこめてすること」という意味が一般的でしょう。けれども元々の意味は「さまざまに物思いをすること。また、気をもませられること。」(以上、広辞苑第四版)。また「物思い」とは、単にものを考えるという意味ではなく「思いわずらう」こと。つまり、秋はいろいろと思い悩む季節というわけです。

さらに多く和歌の場合、「秋」は「飽き」の隠語として用いられます。だから「秋は来た」には「飽きは来た」つまり「恋人の心が離れてしまった」という意味も込められています。「心づくしの飽き」でもあるわけです。

この歌との出会いは今となっては定かではありませんが、おそらく高校の古典の授業だったと思います。それが今でも心に残っているのは何故か?それは私が「心づくし」しがちな性格だからかもしれません。そういえば以前友人に「悩んでいてこそキミらしい」などと、有り難くない形容をされたことがありますが……憂いのある様子が似合っているという意味なのでしょうか?と、話がそれてしまいました。

「月」が重要なのかもしれません。木の間よりもれてくる月の光。その美しい様子は常に同じなのだろうけれど、悩みのないときにはそれに気づく暇もなく……。けれども、悩みができたとき、何気なく見上げると、そこには美しい月の情景。物思いがあるからこそ見える情景なのかもしれません。そしてその美しさに、悩みもほんのひととき、忘れられる……。

でもやはり、心づくしはなかなか「つき」ないものなのです……とお後(あと)がよろしいようで(笑)。

●月に関するお話はもう一つありますが、これについてはまた別の機会に?


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