『日本語変換の秘密 その1 IMEとは?』

少し前の話になりますが、あるワープロソフトの新バージョン発売のCMでのキャッチフレーズに、こういうのがありました。「賢くなった○○○!」これを聞いて違和感を覚えたのは、私だけでしょうか?

というのも、この場合、賢く……というのはもちろん、日本語変換の効率性を指します。即ち、前後の文脈に沿って(入力者の望んでいる通りに)語句が正しく変換されるかということです。

ところが、日本語の変換を処理するのはワープロソフト自身ではありません。実際は「IME(Input Method Editor/アイエムイー)」と呼ばれる「日本語入力システム」がワープロとは別に存在し、それが日本語変換を実現しているのです。ですから、正しくは、「IME」が賢くなったというわけです。IMEの具体例としては、ジャストシステムの「ATOK(エイトック)」やマイクロソフトの「MS-IME(エムエス・アイエムイー)」が挙げられます。

「IME」と呼ばれる「日本語入力システム」と書きましたが、このあたりの用語は非常に曖昧かつ複雑です。「IME」は本来「入力支援ソフト」というのが正しい訳語になります。というのも、「IME」自体は日本語だけを入力支援するわけではないからです。特に日本語用を指す場合は「日本語IME」などと呼ぶのが適切です。

その一方で「FEP(Front End Processor/フェップ)」と呼ばれることもあります。コンピュータには日本語が理解できないため、日本語を打ち込んだとき、コンピュータ自身にそのデータが入力される前に英語に変換する「機械」を取りつけ、「日本語を理解するふりをしたコンピュータ」が昔作られたそうです。その部分が「Front End Processor」(事前処理?)が呼ばれた関係で、日本語入力システムのことを「FEP」と呼ぶようになったそうです。ですから、「日本語入力システム」のことを「FEP」という場合もあります。この場合は特に日本語変換のことを指すと考えて良いかもしれません。

また「日本語入力システム」という表現にも、実は別表現が存在します。例えば「日本語変換ソフト」「日本語変換システム」「かな漢字変換プログラム」など……。ただし一般的には「IMEと呼ばれる日本語入力システム」という表現が用いられているようです。

「システム」と書きましたが、実際の存在はやはり「ひとつのソフト」です。ですから、キーボードから入力された文字が日本語に変換されるまでの処理は、自動的に行われるわけではなく、あくまで「IMEというソフト」がまず処理をして、その処理結果をワープロソフトやホームページ上の掲示板の書込欄などに反映していると考えて下さい。そうすれば「日本語が入力できない!」というときに「あ、IMEが起動しているかな?」と確かめられるようになります。

ちなみに「一太郎」では「ATOK」が、「ワード」では「MS-IME」が標準ですが、別に「ワード」で「ATOK」を使うこともできます。このことからも、IMEもまたソフトである、ということが解ると思います。

さて次回は日本語変換を便利にするテクニック「単語登録」についてお話したいと思います。

●本文中に現れる製品名などは、各発売元または開発メーカーの登録商標または製品です。……って、おきまり表現(^^;)


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