1.すぐに水に飛び込んではいけない

救助者が溺れる「二重遭難」の危険

溺れた人を見つけたら、さっと上着を脱いで飛び込む……というのは、ドラマなどでよく目にするシーンでしょう。しかし、実際には一番やってはいけない救助法といえます。なぜなら、慌てた対応により二重遭難・二次災害の発生リスクが高まるからです。

例えば、ありがちな水難事故として挙げられるのが、溺れた子供を救助しようと水に飛び込んだ大人が、逆に遭難してしまうケース。このような二重遭難は、単に遭難者数を増やすだけでなく、救助作業を複雑にします。そして結果的に、最初の遭難者の救命にかかるリスクも高めてしまうわけです。

また、遭難者はたいていパニック状態のため、救助者にしがみつこうとしたり暴れたりするのが普通。そのため、かなり泳ぎに自信のある人でも、泳いで救助するのはやはり危険なのです。遭難者と救助者の双方とも溺れてしまうことになりかねません。

救助者自身の安全を最優先する

実は、ライフ・セーバーのような水難救助の専門家でさえ「道具を持たずに救助に向かうことはない」といいます。ましてや素人がいきなり道具も持たずに飛び込めば、二重遭難のリスクが高まるのは当然です。

二重事故を防ぐためにも、自分が飛び込まないこと。それより、何か浮くものにひもをつけて渡してやるなどの方が、より良い救助法といわれています。

このようにいうと「水難事故の現場に居合わせながら、黙って見ているだけで飛び込んで救助せず、遭難者が死んだらどうする? やはり飛び込んで助けるのが当然!」と考える人たちがいることでしょう。しかしそれは、泳いで救助する危険性を知らなすぎる、といえます。現実はドラマとはちがいます。飛び込めば必ず助けられるわけではないのです。

飛び込まなかったことで遭難者を救助できなかったとしても、それは「救助者自身の安全を最優先する」と考えた上での結果だったとして、理解するべきです。

泳がないで救助することができれば、それがもっとも良い方法

実際には「ちょっと機転をきかせれば、水に入らずに救助する方法はたくさんある」といわれています。泳いで助けるのは、あくまで「最後の手段」。まずは飛び込まずにできる救助方法を考えること。それが大事です。

では、飛び込まずにまず何をすべきなのか? について、次のページで考えることにしましょう。

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